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【従業員エンゲージメントとは?】人的資本についても解説

2023.10.08
近年、従業員エンゲージメントは注目を集め、学術研究やビジネス分野で高い関心を集めています。なぜなら、エンゲージメントが高い従業員は、通常の職務に留まらず、卓越した役割を果たす傾向があり、企業に多くの利益をもたらすからです。今回の記事では、人的資本の観点から「従業員エンゲージメント」について解説します。
人的資本とは
現在、企業や政府は、「人的資本経営」というアプローチを進めています。このアプローチでは、人材を資本、財産として見なしてその潜在的な価値を最大限に引き出すことに焦点を当て、中長期的な企業価値向上を図る経営戦略です。以前は人材を単なる「資源」と見なし、コスト削減の対象としていたのに対し、今では投資すべき貴重な資本と位置づけ、その育成に積極的に資金を投じるべきであると考える経営哲学が広まっています。
ちなみに、この新しいアプローチに伴い、「人材」の代わりに「人財」という用語も一般的になっています。エンゲージメントは、人的資本に関する情報を企業が開示する際に項目の一つとして設けられているものであり、重視されているものの一つとなっております。
人的資本について、詳しくは以下の記事もご覧ください。
従業員エンゲージメントとは
エンゲージメントとは「対話」と訳され、具体的には「従業員エンゲージメント」として、従業員の企業への理解や信頼を示す指標で、企業への貢献意欲を表すものです。愛社精神や従業員満足度に似ていますが、エンゲージメントは企業と従業員との間において、共通の目標を共有し、お互いに貢献し合う対等な関係を強調します。このため、企業は従業員が活気づき、高いパフォーマンスを発揮できる環境を提供し、従業員は企業の業績向上にコミットすることが期待されます。
エンゲージメント向上のためには
エンゲージメントを高めるための要因は以下の3つにまとめることができます。
分野 | |
---|---|
人間関係 | コミュニケーション・フィードバック・サポート・コーチング・リーダーシップ・承認 |
成長 | 成長機会・タスクの多様性・キャリア開発・トレーニング・研修 |
文化 | 組織文化・組織の方向性・労働環境・ワークライフバランス・職場の安全と健康・非金銭面の制度 |
(井口佳代子. (2021). 従業員エンゲージメント: 若手従業員のエンゲージメントレベルの向上について. 獨協経済研究, (29), 19-29.)
企業は上記のような点を意識し、組織を構成する従業員のニーズに合わせてエンゲージメントレベルの向上を目指す必要があります。
さらに、経営戦略と人材戦略が一体となり、企業の成功に向かって進む道を切り開くことは、現代のビジネスにおいて非常に重要といえます。
経営戦略とはビジョンと目標を設定し、事業の方向性を示すものである一方、人材戦略はそのビジョンを実現するための鍵となる人材を確保・育成し、組織内の力を最大限に発揮させるための戦略です。この両者の向く方向が一致することで、経営戦略を実現するための人材ニーズが的確に把握され、人材戦略がそれに応じて調整される必要があります。そのためには、まずは理想の会社の在り方と現実とのギャップを可視化することが第一歩です。
さらに、ギャップを埋めるための計画を立て、実行することが重要です。経営戦略と人材戦略が完璧に合致していれば、その時点ではコストを払うことになっても、将来的には十分なリターンが得られる可能性が高まります。なぜなら、適切な人材を確保し、育成するための投資は、将来の成果として企業に還元され、持続可能な成功を築くための基盤を強化するからです。
したがって、経営戦略と人材戦略の調和は、競争激化するビジネス環境において、企業の生存と成長に不可欠です。経営者や組織のリーダーは、この点を強調し、経営戦略と人材戦略の連携を強化し、将来にわたり成功を確保するための基盤を築くべきです。
エンゲージメント向上の効果
従業員のエンゲージメントが向上すると、ビジネスにはさまざまな効果が現れます。従業員エンゲージメントは、顧客満足度、従業員の生産性、企業の利益、離職率、安全上の問題など、ビジネスの重要な成果に関連しています。米国の世論調査企業ギャラップによると、エンゲージメントが高いチームは以下の特徴があります。
- 顧客評価が10%高い
- 収益性が22%向上
- 生産性が21%向上
- 離職率が減少
- 株価収益率(EPS)が47%向上
- 欠勤率が37%低下
- 不良品質が41%低下
- 業務中のアクシデントが48%減少
- 盗難が28%減少
これらの事例からわかるように、従業員エンゲージメントの高さは、企業、従業員、顧客にとって多くのプラスの影響をもたらします。したがって、起業に興味がある人々にとっても、エンゲージメントの重要性を認識し、ビジネス戦略に組み込むことが長期的な成功に向けた鍵となるでしょう。エンゲージメントを通じて、従業員の満足度と生産性を高め、競争力を向上させるための戦略を検討してみてください。
事例

NECは「Smart Work 2.0」という新しい働き方改革ビジョンを推進しており、社員の自律的な働き方によるハイブリッドワークの確立と「働きがい」の追求を重要視しています。このビジョンの下で、NECは3つのチームを結集させ、従業員のエクスペリエンスを最大化する取り組みを展開しています。それぞれのチームはワークプレイス(働く場所)、デジタルテクノロジー(技術)、ワークプリンシパル(規則・制度)で構成され、組織を超えて連携し、多様な社員が活気づき、働きがいを感じられる環境を創り出すことを目指しています。
NECはこの目標を定量的に測定するために「エンゲージメントスコア」を使用しており、2021年度にはエンゲージメントスコアが25%から35%に大幅に向上しました。
まとめ
- エンゲージメントとは「従業員エンゲージメント」として、従業員の企業への理解や信頼を示す指標で、企業への貢献意欲を表すもの
- エンゲージメントを向上させるためには人間関係・成長・文化
- 従業員エンゲージメントは、顧客満足度、従業員の生産性、企業の利益、離職率、安全上の問題など、ビジネスの重要な成果に関連している
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